ムジナモを栽培していると必ずと言っていいほど出会う障害と、その対策方法についてまとめてみました。

アオミドロ
 ムジナモ栽培の大敵がこのアオミドロです。緑色の細い糸状の藻類で水中の窒素分が多いときなどによく発生します。アオミドロはムジナモに巻きつき放っておくとすぐに全体を被ってしまいます。アオミドロに巻きつかれたムジナモは徐々に芽先が細り、衰弱してしまいます。
 発生が少量の場合は毎日地道に棒や歯ブラシなどを使って絡めとります。また水をすべて入れ替えるのも効果的です。発生が多量で手に負えない場合は、焼きミョウバンを少量水で溶いて入れます。アオミドロは白く枯れます。ミョウバンはムジナモに対しても影響があるようで、ミョウバンを加えると一時生育が悪くなるようです。ミョウバンを加えた水はやはりムジナモ栽培には適さない物なので、アオミドロが枯れたら、水をすべて入れ替える必要があります。
 また水中の窒素分を少なくするためには浮き草類が有効です。浮き草類は成長が早く、その分窒素固定能力も高いので、浮き草を入れて、増えたら余分な分を捨てるようにすると良いでしょう。
 ピートモスなどを使ってブラックウォーターにしたムジナモの好む水はアオミドロは繁殖しにくい物です。逆にアオミドロが繁殖すると言うことはその水はムジナモにとっては良くない水ということですので、その場合はやはり水を入れ替えて、水質を整えなおす方が良いでしょう。
●アオミドロに巻き付かれたムジナモ ●焼みょうばん

 アクアの世界ではコケ対策として生物兵器が良く使われています。
 アオミドロ対策として有効であると思われる生物兵器の一つがヌマエビです。水槽のコケ取り用のエビとしてはヤマトヌマエビとミナミヌマエビが有名ですが、屋外の水鉢に入れることを考えるとミナミヌマエビが最適と思われます。ミナミヌマエビは比較的高水温、低水温に強く、1年を通じて屋外の水鉢での飼育が可能です。寿命は1年程度ですが、水鉢内での繁殖も容易で、いつの間にか小さな仔エビがたくさん生まれています。
 アオミドロに絡みつかれたムジナモも、ヌマエビをたくさん入れた容器に一晩入れておけば見違えるように綺麗になります。ミョウバンによる駆除と異なり、ムジナモ本体にはまったく影響なく、綺麗にアオミドロを取り去る事が出来ます。
 ヌマエビ使用の際のポイントはある程度まとまった数のヌマエビを使用することです。10匹程度では思ったほどの効果を上げることは出来ません。数十匹を入れる必要があります。
 多数のエビの投入はエビの排泄物による水質悪化を起こす可能性もあり、諸刃の刃です。ただしエビによるアオミドロのクリーニング能力は捨てがたいものもあるので、別の水槽などでエビを飼育しておき、アオミドロに巻かれたムジナモをクリーニングしたい時に、エビ水槽にムジナモを一晩入れておくのも良い方法です。

●ミナミヌマエビ(体長1〜2cm) ●アオミドロを精力的に食べてくれる


ホウ素欠乏症
 ムジナモを栽培していると、節間が妙に詰まってきて、そのうち生長点が萎縮したようになってしまうことがあります。これはホウ素が足りないことによって起こるホウ素欠乏症の症状です。
 ホウ素は植物が必要とする栄養素の中の微量元素で、必要不可欠なものです。貧栄養の水を求めるあまり、ホウ素まで不足してしまう場合があります。このような時はホウ酸をお湯で溶かして栽培水に加えます。ホウ素は前述のように微量元素ですので、加える量は0.5mg/Lとします。ホウ酸は薬局で簡単に購入できますが、量によって中毒症状を引き起こす物ですので、取り扱いには注意してください。

●ホウ素欠乏症のムジナモ ●ホウ酸


生長悪化
 なぜだか原因がわからないのですが、急に成長が悪くなり、捕虫器がないような葉になってしまうことがあります。
 いろいろな要因が絡んでいるのだと思うのですが、はっきりしたことはわかりません。ただこうした場合、水を換えたりするとまた普通に生長し始めることがあるようです。やはり水質が合わなくなっているのでしょうか?

●貧弱になった芽先 ●健全な状態の芽先