一、館林市・邑楽郡におけるムジナモ発見とその推移
1 ムジナモの形態
 ムジナモは、ムジナモ科に属し、一属一種の珍草である。根がなく、沼や水田などの水たまりに浮遊して生育し、冬は茎の先が球状にかたまり越年する。茎は長さが六〜二五センチぐらいにものび、ときには一〜四本ほどの枝をだしている。茎の節節には、普通六〜八個の葉を輪生し、葉柄はくさび形で、その先端は長い数本の刺毛となっている。葉身はハマグリを開いたような形で、水中で開き、虫の来るのを待ち、虫を捕らえると葉身を閉じて消化してしまう。花は径一センチに満たない淡緑色で、夏水面上に出て開く。がく、花びらはそれぞれ五個、おしべは五本、花柱も五個となっている。

ムジナモ
 ムジナモは、日本以外にはアムール、満州、朝鮮、インド、オーストラリア、ヨーロッパ、中央アフリカの一部に分布するが、地方によっては開花が稀である。
 ムジナモの名のおこりは、ムジナモの全体の形状が、ムジナの尾に似ているところから名づけられたという。また二枚のハマグリの形をした葉身が、タヌキ(ムジナの別名)の腹づつみに似たところから名づけられたとも言われている。

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